歯周病について
当院の歯周病治療の特徴
始めて来院された際には、歯周病の検査をさせていただきます。歯周病の原因はお口の中にいる細菌が原因のため位相差顕微鏡を使用した検査も行なっています。歯周病検査や細菌検査の結果に基づき診断し歯周基本治療と呼ばれる歯石取りや歯みがきの指導を行います。歯周基本治療終了後、歯周病の状態が安定した場合は3ヶ月に1回のメンテナンスへ移行します。
また、4㎜以上の深い活動性の歯周ポケットが残存している場合や、歯周病により破壊された歯周組織を再生したい場合には「歯周外科治療」も行なっています。
歯周病治療の診療方針
保険診療に沿った治療を行なっております。また、当院は予防歯科に力を入れており、その予防歯科の体系的なシステム【デンタルフィットネス】を導入しております。
【デンタルフィットネス】とは・・・むし歯が無い、歯周病が安定している健康な方が、その状態を維持するために通う保険適用の会員制プログラムです。会員制といっても入会費などの必要はありません。
3ヶ月に1度のご来院でお口全体のクリーニングと検査が受けられ、一回の施術時間はおよそ大人が60分、子どもが30分となっております。
歯周病症状の
段階について
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軽度歯周病
見た目
4㎜程度の歯周ポケット。歯肉に、発赤(赤み)や少しぷっくりとした腫れがでてきます。
痛み
痛みはありません。
日常生活の支障
ほとんどの場合、自覚症状もなく日常生活に支障は出ません。歯みがきの時に出血することがあります。口臭が気になることがあります。
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中等度歯周病
見た目
5~6㎜程度の歯周ポケット。歯肉の発赤(赤み)、腫れ、排膿してくることがあります。少し歯が動揺することもあります。
痛み
歯応えのある物や固い物を噛むと痛みが出ることがあります。
日常生活の支障
疲れた時など体調が優れない時に痛みやうずくような違和感が出やすくなります。歯磨きの時に出血することがあります。他人から口臭を指摘されることがあります。
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重度歯周病
見た目
7㎜以上の歯周ポケット。歯肉の発赤(赤み)、腫れ、排膿、歯の動揺、歯肉が下がることで歯が長く見える。歯並びが悪くなります。
痛み
歯応えのある物や固い物を噛むと痛みが出ることがあります。
日常生活の支障
歯の動揺がひどく食事が困難になります。口臭がひどくなります。歯と歯の間にすき間ができ食べ物が挟まります。口の中がネバネバして不快に感じます。歯肉の腫れ、排膿を繰り返します。歯が抜けてしまうこともあります。
歯周病・歯肉炎について
歯周病
歯周病とはどんな病気か
歯垢(プラーク)の中の歯周病原細菌によって引き起こされる感染性炎症疾患です。歯の周りの組織に炎症が起こり、さらに進行すると歯を支えている骨が溶けてしまう病気です。最終的には歯が抜け落ちてしまいます。歯を失う原因で最も多いのが歯周病です。
歯肉炎
歯肉炎とはどんな病気か
歯の周辺や表面、歯と歯の間に歯垢(プラーク)が蓄積し、細菌が出す毒素によって歯茎が炎症を起こし赤く腫れてしまう病気です。
歯茎の赤みや腫れ、歯みがきやデンタルフロスを使用した際などに出血が起こりやすくなります。
口臭が気になるようになります。
歯周病になる原因とは
歯肉炎や歯周炎を含む歯周病の主な原因は、歯垢(プラーク)になります。
歯垢(プラーク)は生きた細菌の塊で、その特徴として酸素を嫌うため歯と歯茎のすき間(歯周ポケット)に潜り込んでいきます。この歯垢(プラーク)が出す毒素によって歯肉に炎症が起きたり、歯を支える骨が溶けてしまいます。
歯周病になりやすい人とは
歯みがきが十分にできていない、生活習慣が乱れている、喫煙の習慣がある、ストレスがある、歯並びが悪い、歯ぎしり・くいしばりをする、持病がある、歯科医院の定期健診に通っていないなどが多いです。
歯周病と全身疾患について
慢性的な歯周病は、歯周病菌やその菌が出す毒素・炎症反応性物質などが歯茎の毛細血管を通して全身のあらゆる組織に送られ悪影響を及ぼしています。
特に、「心臓血管疾患」「呼吸器疾患」「骨粗鬆症」「悪性新生物(がん)」「糖尿病」「低体重児出産」などを引き起こすリスクが高まります。
歯周病で抜歯を行なった方が良いケース
- 重度の歯周病で、歯を支える骨がほとんどなく歯が大きく揺れる場合
- 炎症が他の歯に影響を及ぼす場合
歯を抜いた場合の
メリット・デメリット
メリット
痛みや腫れなどから解放される。周りの歯への感染や影響を防ぐことができます。
デメリット
歯茎が痩せてくる。歯肉の回復を待つ間は歯がない状態になります。
歯周病のセルフチェック
全体
- 口臭を指摘された、自分で気になる
- 朝起きたら口の中がネバネバする。
- 歯みがき後に歯ブラシに血がついている、すすいだ水に血が混ざることがある。
歯肉の状態
- 歯肉が赤く腫れている。
- 歯肉が下がり、歯が長くなってきている。
- 歯肉を押すと血や膿が出てくる。
歯の状態
- 歯と歯の間に食べ物が詰まりやすくなっている。
- 歯が浮いたような感じがする。
- 歯並びが変わったように感じる。
- 歯が揺れている。
判定
- 1~3個該当する場合
歯周病の可能性があるため、軽度のうちに治療を受けてください。 - 4~5個以上該当する場合
歯周病が中程度以上に進行している可能性があるため、早期に治療を受けてください。 - 該当する項目がない場合
該当がなく無症状でも歯周病が進行することもあるため、1年に1回以上は歯科健診を受けてください。
歯周病治療の流れ
歯に付着した細菌の塊である「歯石」「歯垢」を取り除かなければ歯周病の進行を食い止めることはできません。
歯周病治療では、大元の原因である「歯石」「歯垢」を取り除く「歯周基本治療」が大切になります。
患者さまが行う「セルフ・ケア(ブラッシング)」と、歯科医院で行う専門的な「プロフェッショナル・ケア」がセットで必要になります。
精密歯周病検査について
検査の流れ
20歳以上の方は、歯周病の状態を詳しく把握し、予防に繋げるために精密検査を行います。
- 歯周ポケットの深さを測る
- 出血の有無を確認
- 歯の動揺度を確認
- 染め出し液を使いプラークの確認
当院の保険治療の流れ
軽度歯周病の場合
①精密検査 ②顕微鏡+TBI ③スケーリング ④検査
④で問題なければメンテナンスへ移行します。4回程度の治療が必要になり、その後は3ヶ月毎のメンテナンスになります。
中等度歯周病の場合
①精密検査 ②顕微鏡+TBI ③スケーリング ④検査⑤SRP(複数回)⑥検査
⑥で問題なければメンテナンスに移行します。
7回~10回程度の治療が必要になり、その後は3ヶ月毎のメンテナンスになります。歯石のつき具合や歯周病の進行具合によって回数は変動します。
重度歯周病の場合
①精密検査 ②顕微鏡+TBI ③スケーリング ④検査 ⑤SRP(複数回) ⑥検査 ⑦再SRP(複数回)⑧検査
⑧で問題なければメンテナンスへ移行します。
10回以上の治療が必要になり、その後は3ヶ月毎のメンテナンスになります。
歯の本数や進行具合によって回数は変動します。
歯周病の予防について
歯科医院でできること
プロフェッショナルケアの提供。歯周病予防のためのブラッシングの仕方をお伝えできます。
自宅でできること
- 毎日丁寧に歯みがきをすること
- デンタルフロスや歯間ブラシをつかうこと
- 喫煙や乱れた食生活など生活習慣を見直すこと
- 歯ぎしりや食いしばりしないよう注意すること
- 高血圧や糖尿病などの持病を安定(コントロール)させること
歯周病の治療法
スケーリングとは
歯肉縁上に沈着した歯石を超音波スケーラーやハンドスケーラーを使用して除去すること。
スケーリングの必要性
歯石が沈着したままになると、新しい細菌が付着しやすくなり歯周病が進行する原因になります。スケーリングで歯石を取り除くことで、むし歯菌や歯周病菌が停滞しにくくなりむし歯や歯周病の進行を防ぐことができます。
治療で期待できる効果は
歯肉の発赤(赤み)、出血などが改善・予防ができます。口臭の改善・予防ができます。歯肉炎から歯周炎へ進行することを防ぐことができ、歯を支えている骨の吸収を防ぐことに繋がります。
歯周組織再生療法
歯周組織再生療法とは
歯周病によって失った歯を支えている骨などの組織の再生を促す治療法です。
どんな症状の時に行う治療
歯周病により垂直性の骨吸収があり、歯周ポケットが4㎜以上でSRPでもなかなか改善が見込めない場合に行います。
治療で期待できる効果は
歯周病で失われた歯周組織が再生し、歯を支える骨も再生するため歯周ポケットが改善します。ブラッシングもしやすくなり、歯周病が改善することで歯の寿命が長くなります。
治療の特徴と流れ
歯周組織再生治療法は歯肉を切る外科処置となります。局所麻酔を行うため、術中に痛みを感じることはありません。
- 歯周病と骨の状態の確認・治療計画
- 手術部位に麻酔
- 診査
- 不良歯肉の切開・剥離
- 肉芽の除去
- SRP
- 骨形成・骨切除・骨採取・
歯肉成型・膜の調整や根面処理 - 組織誘導薬剤の注入
- 縫合
- 傷口を特殊なパックで覆い保護
- 経過観察・抜糸
歯周外科治療
(フラップ手術)
フラップ手術とは
進行した歯周病に対する治療法の1つです。歯肉弁を剥離翻転する事により、患部を直視可能になり歯周基本治療では除去できなかった深部の歯石除去、ルートプレーニング炎症性肉芽組織の除去を行う事です。
どんな症状の時に行う治療なのか
歯周基本治療ではなかなか歯周ポケットの数値が改善しない場合。根の形状が複雑で深部までのSRPが困難な場合に行います。
治療で期待できる効果は
歯周ポケットの数値が改善する。ブラッシングがしやすくなり、歯周病の進行が緩やかになることで歯の寿命が長くなります。
治療の特徴と流れ
フラップ手術は歯肉を切る外科処置となります。局所麻酔を行うため、術中に痛みを感じることはありません。
- 歯周病と骨の状態の確認・治療計画
- 手術部位に麻酔
- 不良歯肉の切開・剥離
- 肉芽の除去
- SRP
- 骨形成・骨切除・骨採取・
歯肉成型・膜の調整や根面処理 - 組織誘導薬剤の注入
- 縫合
- 傷口を特殊なパックで覆い保護
- 経過観察・抜糸
骨移植
当院での骨移植手術とは
歯周病によって溶けてしまった部位に骨(人口骨)を移植し、骨の再生を図る治療になります。
どんな症状の時に行う治療なのか
歯周病によって歯を支える骨が溶けてしまっている場合。歯周組織再生療法で治療する際に、骨吸収が広くそのままでは改善に影響が出ると判断した場合に行います。
治療で期待できる効果は
骨移植によって歯を支える骨が再生するため、歯の寿命を延ばすことができます。
治療の特徴と流れ
- 歯周病と骨の状態の確認・治療計画
- 手術部位に麻酔
- 歯肉の切開・剥離
- 肉芽の除去
- SRP
- 骨形成・骨切除・骨採取・
歯肉成型・膜の調整や根面処理 - 人口骨の注入
- 縫合
- 傷口を特殊なパックで覆い保護
- 経過観察・抜糸