親知らずについて
親知らずとは
専門的には、第3大臼歯あるいは智歯(ちし)ともいいます。前歯から数えて8番目の歯です。永久歯で一番最後に萌出します。
何歳くらいで生えてくるのか
「親知らず」が生えてくる時期はおおむね10代後半から20代前半ですが、はじめから「親知らず」がない人や、上下左右の4本がそろっていない人など個人差があります。
成人以降、30代を過ぎてから生えてくることもあります。現在は、お子さんの成長が早く、成長が早い子で、14歳頃から萌出してくるお子さんもおります。
生えてくるときの痛み
親知らずは萌出時に歯茎から飛び出そうと歯肉や隣の歯を押します。また、歯の頭を出す瞬間は歯肉を突き破って出てきます。
それにより萌出時は痛みを感ることがあります。この痛みは、親知らずがまっすぐ生えてくれば治まりますが、斜めや横向きに生えてくる場合は痛みが続くことがあります。
親知らずと歯並び
親知らずと歯並びの関係性について
親知らずが生えてきて手前の歯を押すことにより歯並びを悪くする事があります。
矯正の際の親知らず抜歯の意味
(後戻り)
歯並びが悪くなってしまった原因が確実に親知らずにあると判断した場合は、矯正治療前や矯正治療中に抜歯を行うことがあります。矯正治療を行なっても治療がなかなか進まないか、もしくは後戻りしてしまう可能性が高いからです。
例えば、親知らずが横向きに生えていて、前の歯を押している場合、いくら矯正治療で重なった部分を整えても、後ろから押される力がある限り歯は再び押されてしまいます。このように、歯並びの乱れの原因となっている場合には事前に抜歯を行うことがあります。
親知らずの痛みの原因について
痛みの原因
- 萌出時の痛み
- 虫歯
- 智歯周囲炎
- 歯性感染症
親知らずによる症状
具体的にどのような症状がありますか?
- 腫れ
- 痛み
- 頭痛・肩こり
- 口臭
抜歯すべき最適な時期
親知らずを抜くベストなタイミングは、10代から20代の学生のうちに抜いておくことが望ましいです。20歳前後の時期は、免疫力が高く比較的早く回復することも、若いうちに親知らずを抜いた方が良い理由の一つです。
抜歯をする前に歯根の成長が完了すると、下顎管に親知らずが接触するリスクが高くなり合併症のリスクも高くなります。
抜歯の難易度について
抜歯の難易度 | 抜歯にかかる時間 | 抜歯の費用 | |
---|---|---|---|
まっすぐに生えている場合 | 易 | 5~10分 | 1,500円程度(3割負担) |
横向きに生えている 場合 |
普通 | 20~30分 | 2,000~4,500円 別途CT:1,500円 (3割負担) |
埋まっている場合 | 難 | 30~40分 | 4,500円 別途CT:1,500円 (3割負担) |
抜歯をおすすめする場合
- 痛みや腫れたことがある場合
- まっすぐに生えてきていない場合
- 手前にある第二大臼歯がむし歯や歯周病になるリスクがある場合
- 大きなむし歯になっている場合
- 歯肉や粘膜を傷つけている場合
必ずしも抜歯しなくて良い場合
- 綺麗に生えてきて歯磨きもしっかりできている場合
- 完全に骨の中に埋まっていて今後も問題が起こる可能性が低い場合
- 移植に利用できる場合
- ブリッジの支台歯(土台の歯)にできる場合
抜歯後の注意点
(腫れ、痛み止め、その他)
- 術後は痛み止めを処方しますが、痛み止めは飲んでから効果が出るまで30分ほどかかりますので、麻酔が切れる前に痛み止めを初回服用することをおすすめします。
本格的に痛くなってから飲みますとなかなか効果を感じず、つらいことになりますのでご注意ください。
また、痛みのピークは24時間から3日程度と言われていますが、個人差や手術の侵襲によって変わります。痛みが長く続く場合や激しくなった時には当院にご連絡ください。 - 腫れは手術に対する生体の正常で健康な反応です。大半の外科的処置後にみられ、程度は通常その処置・手術の規模に比例します。口の周りや頬・目・顔の外側が腫れるのは異常ではありません。
多くの場合、手術翌日まで腫れはあまり目立たず、ピークは術後48~72時間に訪れます。術後24時間までは濡れタオルで軽く冷やすと腫れを軽減することができます。 - 抜歯後に激しくうがいをすると、血餅ができなくなったり血餅が剥がれてしまったりして治りが遅くなります。
術後24時間はなるべく強いうがいをしないようにしてください。
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麻酔
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切開する
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骨を削除する
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歯を分割する
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抜歯
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歯肉を縫合する
抜歯後の腫れについて
腫れの程度について
親知らずの抜歯後の腫れは個人差が大きく、術前に腫れの予測をすることはできません。
通常上の親知らずの抜歯の場合はほとんど腫れることはありません。しかし、下の親知らずの場合はぱっと見てあごの左右差がわかるほど腫れることが多いです。
腫れに伴い、お口が開けづらかったり、噛む動作を行いにくく普段どおりお食事をすることは難しくなります。この腫れは身体の正常な反応なのでご安心ください。
腫れる期間について
下の親知らずの抜歯では、通常術後1週間腫れと痛みを伴います。 2〜3日後に腫れと痛みのピークを迎え、その後は徐々に落ち着いてきます。
危険な腫れ方
抜歯した部位に感染が起こり喉の方まで腫れてきた場合は、食事だけでなく呼吸にも影響が出る可能性がありますので、すぐに歯科医院の受診をおすすめします。
親知らず抜歯で
よくあるご質問
Q. どんな時、親知らずが痛くなりますか?
A. 1つ目は虫歯です。虫歯が大きくなるにつれ、痛みが出てきます。虫歯の細菌が神経まで感染してしまうと痛み止めも効かないほど強い痛みを感じます。2つ目は智歯周囲炎(ちししゅういえん)です。親知らずの周りの歯茎が腫れ、膿がたまります。虫歯と智歯周囲炎はともに、プラーク(汚れ)が溜まりやすいことが原因です。
Q. 親知らずはなぜきちんと生えませんか?
A. 親知らずがちゃんと生えてこない理由として、あごの骨のスペース不足があります。親知らずは一番最後に生えてくる歯なので、もともと生えるスペースが不足している場合はきちんと生えずに歯茎に埋まったままになることが多いです。
Q. 親知らずがまた生えることがありますか?
A. 一度抜いた親知らずが再び生えてくることはありません。
Q. 抜かないで治す方法はありますか?
A. 親知らずがきれいに生えていてしっかり歯磨きができる場合は、虫歯の治療や歯周病の治療を行い抜かなくて済む場合があります。
ただ横向きに生えていたり、歯茎から半分生えている親知らずが虫歯や智歯周囲炎となった場合、治療をしても再発を繰り返すので抜歯をおすすめしています。
Q. 親知らずの抜歯前に注意することはありますか?
A. 親知らずの抜歯の際に歯茎に炎症があると術中麻酔が効きにくかったり、術後の腫れと痛みが通常より強くなる場合があります。炎症がないようにしっかり歯磨きをしてください。また、炎症がある場合はあらかじめ抗生剤を服用して炎症を抑えてから抜歯に臨みましょう。
Q. 親知らずの抜歯は大体どのくらいの時間で可能ですか?
A. 親知らずの部位や生え方、年齢、性別によって抜歯にかかる時間は変わります。
まっすぐ生えている親知らずは5〜20分、半分顔を出している親知らずは15〜30分、完全に埋まっている親知らずは30〜40分です。
当院では必要に応じて術前にCTを撮影して、抜歯時間の目安をお伝えするようにしています。
Q. 親知らずの抜歯はいくらかかりますか?
A. 親知らずの生え方によって費用は変化します。
Q. 抜けなくて途中で中止されることはありますか?
- A. 抜歯部位の炎症強く麻酔が効かない場合:炎症が強い部位は、麻酔が効かない場合が多いです。麻酔が効かず、痛みが強すぎる場合は抜歯を中止します。通常炎症を抑えてから抜歯をおすすめしています。
- 患者さまの体調が悪くなった場合:抜歯をするにあたって過度に緊張していたり、麻酔薬の影響で気分が優れなくなる場合がございます。抜歯中に少しでも異変を感じたり気分が悪くなりましたら我慢せずにお伝え下さい。
- 親知らずの根の先が折れた場合:親知らずの根の先が折れてしまい当日に折れた先を除去する際に神経や血管を傷つける危険性がある場合に中止をすることがあります。
Q. 親知らずが虫歯になると抜歯は難しいですか?
A. 親知らずの虫歯が進行してしまい、歯冠(歯の頭の部分)が大きく失われている場合抜歯の難易度が上がり、処置時間が長くなる場合がございます。親知らずがまっすぐきれいに生えている場合を除き、虫歯になる前に予防的に抜歯をすることをおすすめしています。
Q. 親知らずを抜くと小顔になりますか?
A. 結論を言えば小顔になる場合はあります。ただし、ごくまれにという条件が付いてきます。それもパッと見てわかるほどの変化が現れる人は、ごくごくまれです。
小顔になる可能性がある人の特徴
親知らずを抜くと小顔になる可能性のある人の特徴は次の3つです。
- 顎(えら)がはっている
歯が無くなると歯を支えている骨も痩せてきます。下の親知らずは、ちょうど顎のエラに近い部分にあるため、親知らずを抜くとエラの前の部分の骨が痩せて小顔になる可能性があります。
- 頬骨がはっている
上の親知らずの位置は頬骨の下にあります。親知らずを抜歯することによって頬骨の下の辺りが痩せて小顔になる可能性があります。
- 顎の筋肉がはっている
まっすぐ生えている親知らずを抜歯すると一番奥に噛む力が伝わらなくなり、筋肉が痩せ、小顔になる可能性があります。